戦術 2009.03.11 (水)
ドイツ第24歩兵連隊フォン・ブリンジスVon Beandis大尉著『突撃』 の要点を旧軍の中の人がまとめたもの
1917年9月15日野戦軍参謀長発布
(バルカン、フランス、ベルギー、特にヴェルダン戦の経験に基づき歩兵突撃に関し述べたもの)

・要旨
第1 突撃部隊の動作
イ 十分な訓練を要する。この訓練は敵陣地模型に対して実施する。
このため歩兵用特殊兵器、砲兵、迫撃砲などを連合して敵陣地内に深く突撃を連続施行するものとする。
ロ 突撃部隊は厳正なる軍規を必要とする。また休養を良好にし、戦闘悲惨の極みにいたるもなお十分な気力と体力を発揮しなければならない。

第2 突撃準備砲撃と歩砲兵の協同
イ 設備十分な敵陣地はこれを破壊することなく歩兵だけで突撃を行っても成功の望みはない。
ロ 準備砲撃のみで敵陣地を破壊するか敵を殲滅するのは無理だが、敵を震骸するのは困難ではない。
ハ 突撃にあたり、我が砲兵もって敵火を完全に制圧するのは期待できないので、歩兵は敵の妨害を受けるのを覚悟しなければならない。
ニ 砲兵は独力で敵を駆逐する意気をもって射撃し、歩兵はまったく砲火を蒙らないような威をもって突撃すべし。

第3 偵察
百方手段を尽くすを要する。かつ空中偵察、特に写真の価値を重視する。

第4 歩兵の突撃
イ 突撃準備位置に就くに際しては、予備隊を第1線後方の近くに近接させ、また準備間敵火の損害を避けるよう努めるを必要とする。

ロ 突撃準備に際し第1線各部隊は隣部隊とよく連絡し、後方部隊はこれに近くろ随し、もって我が軍の士気を振起し、敵の士気を喪失させる。 そして突撃続行中は疎散な隊形で敵火の損害を避けることに努め、突撃の続行と追撃のため兵力を節約する。
ハ 突撃の歩度は迅速であることは勿論だが、地形と突撃距離(深さ)の関係上迅速な歩度が採れないときは隊形の選択を巧みにして敵火のため蒙る損害を減少し、 速歩にて連続前進するものとする。
ニ 突撃は敵陣地占領後暗黒にいたるまで秩序を回復するなどの時間の余裕があるように実施するを可とする。 できれば早朝からするを有利とするも準備射撃(当時の準備射撃は破壊射撃をもってする実際効力本位である)の関係上、これを許さざることあり。 また正4時などの時刻は不利で、端数の時刻、すなわち4時5分または3時56分などを選定するを可とする。
ホ 突撃実施に際しては喊声を発し、かつラッパを吹くを可とする。また手榴弾携行者は冷静な者に限る。 そして各部隊は決意突進すれば優勢な敵に対しよく成功し、さらに敵の後方部隊をも潰走させることができる。 これに反し中途逡巡するときはたちまち敵に乗ぜられ悲惨な結果を招くを常とする。
ヘ 突撃は不意に乗ずること最重要なり。そして火器と白兵の使用を巧みに実施すべきものとする。すなわち、
 a 砲兵と迫撃砲の射撃により敵を震骸した瞬間を利用して突撃するよう機関銃もまたこの主旨により白兵突撃と協力して威力を発揮すべし。 この際我が歩兵の受ける損害は忍ばなければならない。
 b 突撃部隊は自ら小銃や手榴弾などをもって敵を制圧し、その瞬間に乗じて突撃しなければならない。そして至近距離における射撃効力はすこぶる大なるものとする。
ト 一陣地または一拠点に対し突撃を実施した直後においては該突撃部隊は混乱を極め、
兵卒は動もすれば指揮官の手の内を脱そうとし、すこぶる危険状態を発生する。特にこの際敵は我が弱点に向かって逆襲するを常とするがゆえに前線にある指揮官は部下を叱咤激励して突撃を連続し、 もって最も貴重な突撃成功後の瞬時を利用すべし。またこの際を俘虜を取るよりはむしろ敵を撃退し この敗敵に追随して敵砲兵陣地にいたるまで深く突入すべし。
チ 突撃目標は高級指揮官が決定する。そして該目標は敵陣地内に取るを普通とするも、 好機に乗じ深く敵陣地を占領できるにかかわらずこれを中止して敵の気息を回復させ、 このため突撃再興にあたり再び大きな準備を必要とするがごとき位置に停止するは突撃部隊の苦痛とするところなり。 突撃部隊が目標を占領する時機はすこぶる危険なるをもって、 第1線中隊長と小隊長は百方手段を尽くして敵の逆襲に対抗しなければならない。
リ 突撃に関する命令は簡単明確にして一点の疑義なきを要する。これ突撃に最も忌むべき遅疑逡巡を招く基なればなり。
ス 大規模攻撃の経過は自然の成行に任ずべきものして、高級指揮官は干渉し失すべからず。 そして予備隊は第1線の状況が明確となった後その使用を決めなければならない。

第5 連絡
後方指揮官(突撃部隊の直接指揮に任ずるもの以外の指揮官を指す)と砲兵は前線の状況を常に明らかにするを要する。 しかるにこのため前線との連絡はすこぶる難事に属し、第1線の得た効果を適時利用できない戦例がすこぶる多い。 そして敵がその火力を前線にのみ集中するときは歩兵用飛行機、電話、視号、伝令などによる通信もまた有効である。

第6 突撃指揮官としての将校
イ ドイツ人は古来士卒を率いて敵中に突入し、戦勝を獲るを好む。 現今の戦闘においてもこの精神によりその生命をとして勝利に投じなければならない。
ロ ドイツ兵卒は従順にしてよくその指揮官の人となり、および指揮振りに親しみてこれに服従する。
ゆえに将校は率先かつ模範を示して彼らの全能を発揮しなければならない。

第7 フランス軍に関する観察
攻撃に先立ち一般に敵軍の特質を研究するを必要とする。 そして仏軍は好敵手であるが感情的で、成功に際しては盛んに自負し失敗にあたってはたちまち士気喪失する。 また砲兵に頼むところ大にして歩兵の近迫戦を好まず、このような軍に対しては猛烈な砲火を浴びせてその士気を震骸し、 これに乗じて独軍得意の近迫戦を実施すれば成功確実である。
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