ミリタリー | 趣味・実用 | 軍事用語 2010.09.01 (水)
舞方雅人さんへのコメントの返答が長くなってしまったので記事化します。長文失礼。



日本軍と「戦役」との関わりが詳しく述べられているのは、私が知るかぎりでは、片岡徹也『軍事の事典』です。片岡徹也氏は「戦役が用いられなくなったことは大袈裟にいえば日本の兵学や用兵から長期的・大局的に見る目を失わせることにつながった」(p.22)と述べています。



実際、塚本秀雄『兵語の解説』(1943年出版)では「戦役」なる語は出てきません。
同著によると、

戦略:
兵団運用の方策をいう。すなわち作戦を計画しその実施を統裁し兵団行動の方向、目的、時機ならびに場所等の関係を定め、もって会戦の態勢を優勝に導きかつ会戦を拡充する方策をいう。

戦術:
本来の意義は戦闘の実施のための術策なるも行軍宿営の実施もまた戦術の範囲に属す。

作戦:
通常戦略単位以上の兵団の某期間にわたる対敵行動の総称にして、兵団の集中、捜索、行軍、駐軍、戦闘およびこれらに必要なる交通および補給等を包有するものとす。
※日本軍では、戦略単位は師団

会戦:
敵を圧倒殲滅する目的をもって通常軍以上の大兵団をもって行う戦闘、およびこれが前後における行動を総称す。

となっています。「戦略」の意味に戦争全体の方策という視点がありません。速戦速決、第一会戦で敵を圧倒殲滅して戦争に勝利するという感じでしょうかね。



ここらへんを戦後自衛隊は整理せず、陸上幕僚幹部『用語集』(1968年)ではごちゃごちゃしたの全部認めちゃえみたいな感じが見えます(参考)。

「迂回」という語も、

1.敵の準備した地域を避けて、その後方に進出し、陣地の放棄あるいは主力の転用を余儀なくさせ、敵の準備していない地域においてこれを撃滅しようとする攻撃機動の方式をいう。
2.一般に障害等を避けて回ることをいう。

と1.専門語としての迂回、2.一般語としての迂回のどちらも認めています。用語の輪郭があいまいになっているように見受けられます。
ちなみに塚本秀雄『兵語の解説』は1.しか認めていません。



これの余波を受けて『戦術との出逢い』では用語の定義に苦しんで思索的になったり、これを解決しようと西浦進氏が『兵学入門』を書いたのではないかと考えています。

最新版『統合用語集』ではどうなっているのか情報公開請求してませんので分かりませんが、おそらく「戦役」あるいはそれに類する語はないと思います。



ならいっそ、アメリカの用語に従えばいいじゃんと思ったのですが、英語力が低すぎて挫折しているのが現状なのですw


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